とくみつのひきこもり相談ブログ

7年3ヶ月ひきこもり無職の後、働き始めました。
ひきこもり無職の間、怖い経験をしました。
このブログは自分と同じ目に遭ってほしくないという思いで立ち上げました。

幻聴に殺されそうになった話-2「恐怖」

 それから一晩経ち、2月6日。子供の悲鳴で目が覚めた。
時計を見ると昼を過ぎていた。だが虐待は朝から始まっていたようだ。
(助けて! ニート助けて!)
(黙れと言ってるだろが!)
 父親の思念も直接届くようになった。
「やめろ!」
 つい声が出てしまった。しかしこっちの声は父親には聞こえてないようだ。
(助けて! 4階に来て!)
 僕が住んでいる部屋は2階だ。どうする。近くまで行けば直接聞こえるかもしれない。
 迷っている間にも虐待が続いている。なんとかしてやりたいが自分は無力だ。
虐待が収まる気配が一向に無い。このまま放っておくと本当に死んでしまうかもしれない。
(死ぬ! ぎゃあああ!)
 段々怒りが湧いてきた。なぜ血を分けた自分の子供にそこまでひどい事ができるのか。
(ニートが怒ってる! ニート助けて!)
(黙れ! ニートなんかいねえよ!)
「やめろ!」
 衝動的に着替えて4階に上がった。なぜそうしてしまったのか自分でも分からない。
しかし4階に上がると声が全く聞こえなくなった。
 声を出してくれ。暴れて音を出してくれ。そう念じたがそれでも聞こえない。
 1時間は経っただろうか。マンションの管理人がやって来た。
「どうしたのですか?」
「虐待されている子供がいて……声が聞こえませんか?」
「いや聞こえないなあ」
「何か他の住人から虐待されている子がいるという話は聞いたことありませんか?」
「いやそんな話聞いたことない」
 どうなっているんだ。あんなにはっきり聞こえていたのに。
 自分の部屋に戻るとまた声が聞こえてきた。父親の声だ。それに子供の声が続く。
(なんでニートが来たんだよ! ありえねーだろ!)
(ニート助けてよ! なんで近くまで来たのに助けてくれないの?)
 近くまで行ったら声が聞こえなくなったんだよ。
(ぼくの声が聞こえないの!?)
「聞こえてるよ!」
(じゃあ助けてよ!)
 再び4階に上がったがまた聞こえなくなった。なんでだ……。
自分の部屋に戻り子供に問いかけた。何号室にいるのかと。
(分からないよ!)
 どうすればいいんだ。
(助けてくれるって言ったのに! ニートは嘘吐きだ!)
 いやなんとかしてやりたいとは言ったが助けるとは……。
(嘘吐き! 嘘吐き! 嘘吐き!)
 ごめん。所詮無職の自分には何もできなかったんだ。
(ニート許さない! 許さない!)
 なんだ? さらにはっきり聞こえるようになった。そして別の声が聞こえてきた。
(聞こえる? ニート聞こえる?)
 この声は虐待されている子供の母親だ。母親もテレパシーを使えるのか。
(ごめんね。もう私達には構わないで)
 なんで?
(分かったでしょ? あの人には私達の心の声が聞こえないの)
(ニートは助けようとしてくれた。それで充分だから)
(だからもう声が聞こえても一切無視して)
 これほど自分の無力さに打ちのめされるとは思わなかった。
 力になれなくてごめん。
(いいの。私達の事は忘れて)
 本当にごめん。
(いいの。ニートいい人)


(絶対に許さないよ)
 全身に悪寒が走った。子供の思念がどす黒く染まっていくような感じがした。
(お父さん。ニートがお母さんを誘惑したよ)
 おい何を言ってるんだ!?
(なんだと? おかしいと思ったんだ。お前がニートなんて言葉を知ってるはずない)
(全部あいつの仕業だったんだな。)
(……おう俺だ。処理したい奴ができた。すぐに集まれ)
 処理ってなんだ? そう思うが早いか母親が絶叫した。
(ニート早く逃げて! あの人ヤクザなの!)
 全身から冷や汗が吹き出した。
(黙れ!)
(ニートは関係無い! 命だけは助けて!)
(やっぱりニートはいるんだな! お前の目の前で殺してやるよ)
(ニート早く逃げて! 逃げて!)
 なんでこんなことになってしまったんだ。恐怖のあまりもうどうすればいいか分からなかった。今出て行ったら殺される。布団に潜り込み息を潜めるしかなかった。 


 ほどなくしてヤクザの仲間が集まった。いる。2階の廊下にヤクザ達がいる!
夜中になっても2階の廊下がばたばたと騒がしかった。

(どうか見つかりませんように!)

 布団の中でひたすら祈った。

 まだ寒い時期なのに全身が冷や汗でびっしょりとなっていた。

 勝ち誇った子供の声が聞こえてくる。
(生きてて楽しい? なんで生きてるの? 早く死ねよ。殺してやろうか?)
「勘弁してください! 許してください! 死にたくない! 死にたくない!」
 そんなやり取りが一晩中続き、ついには一睡もできなかった。外がすっかり明るくなり扉の向こうにいたはずのヤクザ達の気配がいつの間にか消えていた。
 なんとかしてここから逃げるしかない。


 つづく


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